女性誌でバッハを語る2014年10月24日 10時19分11秒

ご縁があり、「毎日が発見」というKADOKAWAの雑誌で、インタビューしていただきました。全8ページ(!)、カラフルな構成で、CD紹介やコラムも入っています。インタビュー記事はときおりやっていただきますが、ゆったりとした美麗な紙面での、これほどの大特集は記憶にありません。


サブタイトルが「100歳まで美しく、強く生きる」となっていることからわかるように、高年齢世代の女性が対象になっている雑誌のようです。単価680円、定期購読が基本とのことで、購入に関してはサイトhttp://www.mainichigahakken.net/をご覧ください。タイトルは「バッハの真髄を聴く」。副題に「60歳を過ぎてこそ心にしみる」とあります。いい時期にいただいた仕事でした。

今月の「古楽の楽しみ」2014年10月21日 14時15分06秒

すみません、うっかりしているうちに放送、2回分終わってしまいました。後追いですが、4日分ご案内します。(Tenor1966さん、ご指摘ありがとうございます。)

今月は、「バッハと楽器」という特集を組みました。バッハがその楽器のために書いた音楽を、声楽曲のオブリガートも含めて聴き、その楽器に対するバッハのイメージもつかめれば、という企画です。

20日(月)は、フルートです。まず、代表作のロ短調のフルート・ソナタBWV1030を、ハーツェルツェト&オッホの演奏で。この名曲を使うのは、初めてです。オブリガートとなると、なんといっても有名なのは《コーヒー・カンタータ》のソプラノ・アリアですね。これにはグリム&ハーツェルツェト&コープマンの演奏を使いました。宗教曲ではやはり、《マタイ》第2部のソプラノ・アリアでしょう。これは、手に入れたばかりのクイケン盤で(ソプラノはゼーマン、フルートはM.アンタイ)。その前の聖書場面を含めて出しました。締めは無伴奏パルティータ。これも初出しですが、ジェッド・ウェンツの演奏はなかなか面白いと思いました。

21日(火)は(今日でしたが)、オーボエ特集。オーボエとヴァイオリンのための協奏曲で入り(カフェ・ツィンマーマン演奏)、オブリガートの美しいカンタータ第32番を全曲聴きました(ガーディナー)。それから《マタイ》第1部のテノール・アリアを、ヤーコプス注目の新録音で。テノールはレートプーです。最後にオーボエ・ダモーレ協奏曲BWV1055の第1楽章をグッドウィンの演奏で聴き、締めとしました。

22日(水)は、ヴィオラ・ダ・ガンバです。まず、カンタータ第106番を、ガーディナーの最新録音で。ガーディナーの最近の演奏には、本当に「間」が出てきましたね。次に第1番ト長調のソナタを、ツィパーリング&バウアーの演奏で。ガンバが印象的なのは何と言っても受難曲ですから、《ヨハネ》のアルト・アリアと、《マタイ》のバス・アリアを聴き比べます。演奏は《ヨハネ》がスティーヴン・レイトンの新録音で、カウンターテナーはイェスティン・デイヴィーズ。《マタイ》には、定評あるレオンハルトのものを使いました。バスがメルテンス、ガンバはW.クイケンです。

23日(木)はリュートです。まず《フーガとアレグロ》を、最近手に入れたヨアヒム・ヘルトの演奏で。次にカンタータ第198番(選帝侯妃追悼頌歌)から、リュートの響きが印象的なアルトとテノールのアリアを、パロットの指揮で。やっぱりいい曲ですねえ。リュートは両受難曲にも、稿によりますが使われていることをご存じでしょう。《マタイ》の〈来たれ、甘き十字架〉のアリアは、初稿ではリュート伴奏でした。いい演奏があったら前日のガンバと比較できて面白い、と思って探したところ、ヤーコプスの新盤が、なんとリュートを使っていることが判明。この曲にはリュートがよく、ガンバへの変更はやむなく行ったのではないか、という考えがあるようです。かくして、比較が実現しました。バスはコンスタンティン・ヴォルフ。最後は、バッハのリュート曲の多くが想定していたとされるリュート・チェンバロで、組曲ホ短調BWV994を聴きます。演奏は渡邊順生さんです。

というわけで構成に凝った今月でしたが、ご案内を忘れてしまいました。申し訳ありません。

野球雑感2014年10月19日 23時56分41秒

「阪神良かった」のコメント、ありがとうございます。私も一方的な展開を、快感をもって楽しみました。しかし、大阪の仕事はしていても阪神ファンではないので、高揚感はもうひとつです。むしろ、オリックスの敗退を惜しんでいます。広島は善戦しましたが、優勝するレベルには、まだ届いていません。

和田監督、良かったですね。どういうものか、野球の世界ではアマチュア評論家の辛口の度合いが音楽の比ではなく、言いたい放題に言われていたのを知っていますので。勝てば、評価も変わってくるはずです。

でも、巨人はなぜ負けるのでしょうか。もともとぶっちぎりの戦力があり、今年はそれが高まっていたはず。去年いなかったFA組の片岡、井端、大竹、新人の小林、そしてアンダーソンといった選手は、みな活躍していましたからね。ドラフトがやっと公平になったと思ったら、FAでかき集める、という手段があったとは。来年も各チームの主力が入ってくるのは、間違いなさそう。エースは、きっと金子ですね。

今日の日本ハムの逆転には驚きました。ソフトバンクに元気がありません。監督の退任が判明したら、もう緊張感は保てないのだそうです。日本ハムの稲葉、求心力がありますね。まだ打てるのに。

各チームのブログ村を回ってみると、楽天村は、新監督批判の大合唱です。なるほど。監督が何人か変わりますが、ヤクルトの小川監督、好感をもっていたので残念です。巨人の原監督は、今年の結果を見ると、続投で良かったようです。

何となく、日本シリーズへの意欲が盛り上がりません。そうか、だから「アンチ巨人は巨人ファン」と言われるんですね。自覚としては、ファンでは絶対ないですけど(笑)。

水曜日の学び2014年10月16日 00時00分07秒

ここ数日多忙でしたので、今日、水曜日の朝日新宿校の準備に苦労しました。ワーグナー、バッハと2コマあるからです。昨日大阪へ往復した時間もフルに使いましたが、準備は嘘をつきませんね。今日は、自分なりにいろいろな発見がありました。

ワーグナーの方は、《神々の黄昏》第3幕のブリュンヒルデの自己犠牲の場面を研究しようということで、藤野一夫さんの論文や高辻知義先生の翻訳を下調べし、この場面の変遷の歴史を扱いました。

そこから明らかになるのは、長大な《リング》の、ジークフリート死後をどう終息するかについてワーグナー自身が揺れ、試行錯誤を繰り返したということです。いわゆるフォイエルバッハ的結末やショーペンハウアー的結末をあきらめて元に戻した時点で、ワーグナー自身が、明確な結論を断念したようにも見えます。これでは演出家が迷い、やり過ぎるかやり足らずになるかして、満足な舞台をなかなか作れないのも仕方ありません。ワーグナーの壮大な構想は、人間の知恵をもっては整理できないところまで行ってしまった、ということなのだと思います。

昔は圧倒されていた《ブリュンヒルデの自己犠牲》も、そう思うとずいぶん違って聞こえてきます。すなわち、批判的に聴く知恵がついたということなのですが、もちろん、それが絶対ではありません。研究は、作品によりよく戻る道筋を作るためにこそあります。作品に戻ってみると、研究の認識を超えるものがあることにまたまた気がつく、という繰り返しが、名曲なのです。

「リレー演奏でバッハを聴く」講座の方は、オルガンの特集でした。映像を揃え、さまざまな楽器を紹介しながら聴いていく形にしたのですが、感動的な名演奏をDVDに発見したので、ご報告させてください。

輸入盤にHistory of the Organというシリーズがあります。その第2巻の終わりに、北海沿岸のひなびた教会で、長老のハンス・ハインツェ(故人)がシュニットガー・オルガンを弾いている光景が出てきます。木訥と言いたいほど淡々と演奏しているのですが、その後ろ姿には後光がさしているようで、まことに味わい深く、すばらしい。《オルゲルビューヒライン》のいくつかとトリオ・ソナタの第4番第2楽章が演奏されていますが神品ともいうべき美しさで、これこそオルガンだと思いました。

バッハ最近の名盤10選2014年10月10日 22時12分38秒

私がつねづね述べているのは、バッハやバロックは新しい演奏を聴いて欲しい、ということです。また、輸入盤にどんどんいいものが出ている、ということも、申し上げてきました。でも、国内盤になってこそ初めて演奏は聴いていただける、という思いもしています。

というのは、最近ある老舗の雑誌(できたらご案内します)に大きなインタビューを掲載していただく機会があり、CDの推薦もしよう、ということになりました。ところが、国内盤で手の入りやすいもの、という条件がついてみると、新しいいいものが、本当に選べないのです。

考えて見れば、CDやDVDを購入することもそれを愛聴することも、日本語なしでは雲をつかむようなもの。これから聴きたいという方々に気軽にお薦めするわけにはいきません。とくに声楽曲はそうですよね。とはいえ、出せと言われてもおいそれとは出せない、という業界の事情もよくわかります。

9月末、朝日カルチャー横浜校で「今が旬の(バッハ)演奏家たち」という講座を行いましたが、準備の過程で、「ここ10年間の名盤ベスト10」の形でご紹介しようと思い、選んでみました。吟味を重ねてというほどでもなく、全部が最高レベルではないかもしれませんが、ご参考までに紹介します。輸入盤、「国内盤仕様の輸入盤」もいくつか入っています。録音年代順です。

1.ジャン=ギアン・ケラス(カナダ、1967~)の《無伴奏チェロ組曲》  2006 第3番のDVD付き
2.マルク・ミンコフスキ(フランス、1962~)指揮 グルノーブル・ルーヴル宮音楽隊の《ロ短調ミサ曲》 2008
3.ハンス=クリストフ・ラーデマン(ドイツ、1965~)指揮 ベルリンRIAS室内合唱団とベルリン古楽アカデミーのモテット、カンタータ・シンフォニア 2008 DVD
4.イザベル・ファウスト(ドイツ、1972~)の無伴奏ヴァイオリン・ソナタ、パルティータ 2009, 2011
5.コンスタンチン・リフシッツ(ロシア、1976~)とシュトゥットガルト室内管弦楽団のピアノ協奏曲集 2010
6.ロレンツォ・ギエルミ(イタリア、1968~)の《トリオ・ソナタ》集 2010
7.アンドラーシュ・シフ(ハンガリー、1953~)の《フランス組曲》 BD 2010
8.イヴァン・フィッシャー(ハンガリー、1951~)指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管の《マタイ受難曲》 BD, DVD 2012
9.リチャード・エガー(イギリス、1963)指揮 エンシェント・ミュージックの《ヨハネ受難曲》 2013
10.ジョン・エリオット・ガーディナー(イギリス、1943~)指揮 モンテヴェルディ合唱団、EBSの《復活祭オラトリオ》、カンタータ第106番 2013

本領発揮?2014年10月08日 23時50分05秒

神社やお寺に行くとお賽銭をあげてお参りしますが、お願いごとはいつも同じ。「私のまわりの人たちがみんな幸せになりますように」と祈っています。と言ったらびっくりした方がおられましたが、もう自分の幸運を祈るような歳でもありませんので、個別的な願い事はしないでおります。

それなら、私は福の神か。そうではないですよね。疫病神と言われてきた歴史があります。何より、飲食関係においてです。おいしいお店を探し、本ブログでも紹介していますが、貴兄が通うとつぶれるというジンクスがある以上、それはまずいんじゃないの、と真顔で忠告してくださる方もある状況でした。

ここまで書いたことと、これから書くことの間に因果関係があるのかないのか。それはわかりません。淡々とご報告します。渋谷のイタリアン、「ラ・ゴローザ」が、この11月で閉店になりました。

本当に、通ったお店です。おいしい。高くない。サービスがきめ細かい。空間が心地よい。静かで話がしやすい。いいことずくめで、いろいろな方をお連れし、皆さん、絶賛でした。閉店だとお話しすると、皆さん揃って、それは礒山が悪い、と非難囂々。でも私が通ったから、その方も行かれたんじゃないかと・・・。

残る時間はわずかですが、ぜひ行ってあげてください。打ち合わせには最適のところでしたので、別のお店を探さなくてはなりません。次の犠牲者は・・。何か、吸血鬼のような気持ちになってきました。

井口先生のこと2014年10月06日 23時13分10秒

いい先生に恵まれることがいちばん必要なのは、中学生のときであるように思います。音楽の先生、担任の先生(体育)はどちらもすばらしい先生で、大きな影響を受けました。しかしお二人とも、すでに故人です。いま音信のある唯一の先生は、国語を教えていただいた、井口利夫先生です。

若々しく、まっすぐな気性であられた、井口先生。ある授業で私と友人が、非協力的な態度をとったことがあります。その時先生は、「この詩を書いた啄木の気持ちを考えろ」とおっしゃり、涙を流して、教室を出て行かれました。申し訳なかったですが、それ以来先生が大好きになり、いまでも年賀状を交わしています。お住まいは木曽。噴火は大丈夫だったのでしょうか。どう考えても、相当なご高齢のはずです。

その先生が、著書を書かれ、送ってくださったのです。題して、『われら在満小国民』。「ほおずき書房」という、長野の出版社から出ています。

変わったタイトルですが、書かれているのは、先生が子供の頃満州に渡られ、そこで戦時を経験して、命からがら帰国されるまでの話。よくもここまで、と思うほど克明に、異国でのさまざまな体験が語られています。

まったく知らないことだったので驚きましたが、本当に貴重な証言をまとめてくださったなあ、というのが、第一の感想。心痛む出来事も出てきますが、からりと明るく書かれているのが何よりで、ご両親が家族のためにいかに奮闘されたかの記述を含めて、愛のある本になっています。ここでご紹介させてください。本当によい先生に学べたこと、その先生が予想もつかない起伏ある人生を過ごされたことを、感動をもって受け止めました。





体調良し2014年10月03日 22時47分46秒

新国立劇場の《パルジファル》、すばらしい公演でした。万全を期して、新聞批評を書きたいと思います。

このところ体調がやや悪く、足をひきずるような感じになっていました。ところが、今朝はからりとした好天のせいか、《パルジファル》の御利益か、目に見えて体調良し。NHKのスタジオに入っても、はっきり好調を自覚していました。

結果として、6年間で多分初めてだと思いますが、2本、ノーミスで取り終えたのです。ディレクターの詳細なチェックで1箇所や2箇所はかならず取り直しが出るのですが、今日はそれがなし。ガッツポーズでした。今月のテーマは「バッハと楽器」。またご案内します。

これまで、番組を彩る「アシスタントの女性たち」に、ときおり言及していました。ところがこの方々、アシスタントではなく、番組を取り仕切るディレクターであったのです。たいへん失礼しました(汗)。細部まで、よくフォローしていただいています。

朝日カルチャーの受講生で朝聴いてくださっている方がおられ、曰く、「最後に『さようなら』とおっしゃるのが好きです」と。えっと思って調べてみると、「さようなら」というのは私だけなんですね(汗)。まったく問題を感じていませんでしたが、皆さん、避けておられるのでしょうか。アドバイスのおありの方、コメントをお願いします。

勇壮さに圧倒される2014年10月02日 13時24分24秒

もう10月ですね。昨日1日(水)は、新学期のカルチャーを2つこなしたあと国立劇場に行き、文化庁芸術祭のオープニング「伝統芸能の交流--日本・モンゴルの歌と踊り」というイベントに列席しました。前半が日本、後半がモンゴル(ビルグーン・オンダラガ歌舞団)による交流です。

こんなに面白いとは思いませんでした。大草原の隅々まで届けとでもいうように展開されるモンゴルの歌と楽器演奏は、勇壮そのもの。前半の日本音楽が農耕民族的・草食的だったのに比べると、騎馬民族の勢いと迫力が際立ちます。これは、相撲、負けますよね(笑)。男性パワーがあふれる中、女性の美しさもたいへんなものでした。

各民族が歴史と生活の中で築き上げた音楽文化はすごいなあという当たり前のことを、あらためて実感。間近で、雅子様を初めて拝見しました。

今日はこれから、新国立劇場の《パルジファル》です。

10月のイベント2014年09月29日 07時40分01秒

朝日カルチャー新学期についてご案内しましたが、その他のイベントについて補足しておきます。

「楽しいクラシックの会」(立川)は、《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第3幕のその2、大詰めの部分を扱います。18日(土)の10:00~12:00、立川市錦学習館です。

4日(土)15:00からは、越谷市のサンシティ市民合唱団からいただいた場で、モンテヴェルディ《聖母マリアの夕べの祈り》についてレクチャーします。市民合唱団がこうした作品に取り組むことは、冒険ではありましょうが、嬉しいことです。

モンテヴェルディ《聖母マリアの夕べの祈り》には、実演もあります。10月26日(日)15:00から、一橋大学兼松講堂(国立市)の「音楽の森」シリーズのコンサートです。出演は、渡邊順生指揮のモンテヴェルディ・アンサンブル(声楽)とザ・バロックバンド(器楽)、ソリストはジョン・エルウィス、鈴木美登里、櫻田亮ら。なかなか顔ぶれの揃ったメンバーについては、こちらをご覧ください。http://jfn.josuikai.net/circle/josuiconcert/pdf/event26_k.pdf

私のプロデュースではありませんが、当日ナビゲーターを務め、字幕も提供します。ということは出演仲間なので、500円引きのチケットをご案内させてください。S席(指定)、A席・学生席(自由)のいずれも、コメントにアドレス付きでお申し込みいただければ、お送りいたします。よろしくお願いします。