入魂のシューベルト2017年05月23日 07時05分47秒

19日(金)のコンサートは、コンクールが続く中に置かれた、審査員の出演するスペシャル・コンサート。弦楽四重奏団が集結する中で五重奏を、という洒落た趣向です。プログラムには、モーツァルトのクラリネット五重奏曲、シューベルトの弦楽五重奏曲という、超名曲同士が並んでいました。

モーツァルトは、フランスの名手ミシェル・ルティエクさんと、クアルテット・エクセルシオの出演。ルティエクさんは人なつこく愛嬌のある、魅力的な方。演奏も際立った音色と技巧を駆使しつつ、明るい生命力にあふれていました。

この曲をこういうイメージで聴いたのは初めてで、こういう風にもできるんだなあと、感心。こうやると、この曲も「最後の4年」の前向きモーツァルト観につながりますね。発見です。

シューベルト最晩年のハ長調五重奏曲は、最近、本当にすごさを感じるようになった作品です。解説のために勉強して、現世を超えるようなその神秘的な世界に、ますます引き込まれてしまいました。

こちらは審査委員長の堤剛さんが第1チェロで入り、その神のごとき包容力のもと、クアルテット・エクセルシオが入魂の演奏。私は大いに感動し、終了後の楽屋で、「何ものにも代えがたい1時間でした」と、心から申し上げました。シューベルトの、器楽の最高傑作はこれですね!大好きな《グレート》交響曲を、さらに上回るという印象です。

蛇足ですが、モーツァルトのクラリネット五重奏曲を聴くとほとんどの演奏においてクラリネットが引き立てられ、弦楽器が一歩退いています。それが常識になっているようにも感じます。

でもそれは、正しいでしょうか。モーツァルトは、いつもクラリネットを聴かせるように書いてはいません。主役が弦楽器に移ってクラリネットが伴奏に回るところもしばしばあり、それによる多彩なテクスチャーの変化が、この曲の魅力の重要な一つなのです。ですので、弦楽器がもっと主導性をもって「作品」に関与すべきだと、たいていの場合に思います。このことは、クラリネット奏者にもぜひ考えていただきたいことです。

パソコン環境は統一すべし2017年05月21日 23時23分51秒

長いこと、オフィスを使っています。1にWord、2にPowerPointで、Exelはほとんど使いません。基本的な機能だけで済むのですが、バージョンアップはその都度しています。

しかし、現在のノートパソコンを購入したとき、Officeはいらないかな、と思ったわけですね。そこでOpenOfficeを入れ、Google-Slidesを併用する形で、乗り切ってきました。ノート(レッツノート)を使う機会が減少しましたから、一応なんとかなっていたのです。

でもやっぱり、慣れない分だけ、いろいろなところで無駄が重なります。それって結構馬鹿にならないなあ、という思いが、今回の経験で決定的になりました。

私は19日(金)、大阪国際室内楽コンクールのスペシャル・コンサートで、ナビゲーターを依頼されていたのです。短い解説時間を最大限活用するために、かなり詳しい原案を文書化して用意するのが最近のやり方。リハーサルが終わり、イメージを掴んでから最終バージョンを作りましたので、完成は開場後、開演の迫る頃になりました。

原稿はいずみホールにメールで送り、プリントアウトしてもらう段取りでした。ところが、アプリが違うためにファイルの保存先がわからなくなり、送るに送れなくなってしまったのです。

私はめったにパニックにはなりませんが、いざなると、当たり前のことでもできなくなるタチです。そのせいか見つからず、時間は迫るで大いに焦り、仕方がない、ノートパソコンをもって舞台に出て、それを見ながらやる形で許してもらおう、と思い、ノートを片手に、ホテルからホールに走りました。

しかし、気づいたことあり。ファイルが見つからなければ、パソコンをもっていても無用の長物だ、ということです。必死の作業でファイルを探し出し、送ったファイルのプリントをすぐスタッフが届けてくれて、事なきを得ました。

出先ではどうしても慣れていない方のマシンを使うわけですよね。ですから、環境はぜひ統一しておくべきだと思います。学会などで、ノートパソコンの操作で立ち往生する発表者を案外よく見ます。私だけのことではないように思います。

話が遠回しになりましたが、この感動的だったコンサートとその母体である国際コンクールについて、次にご報告いたします。

日進月歩2017年05月16日 09時47分28秒

ランサムウェアの被害に世界中が巻き込まれているという話は、人ごとではありません。便利はかならず裏腹の危険を伴っているのが、世界というもの。しっかり対処したいですね。

数日前私は、Windows立ち上げの際にパスワードを打ち込めないという状態になり、立ち往生しました。ノートパソコンを代用しながら症状を文章書きして検索し、ソフトキーボードを使うことで、幸い解決することができました。これは、ネット環境をマルチでもっているという発展のおかげです。

それにしても、ネットの情報展開はすごい。どんな分野でも右肩上がりに進んでいることなので、資金や人手がどうやって確保されているのか、その都度心配になります。

ドイツに行く前に何とかたたき台を作り、何を調べるべきかをはっきり絞り込もうと思っている、《ヨハネ受難曲》の論文。福音書研究の部と作品研究の部では一応の原案を作ったのですが、それをつなぐ前史の部分に課題が多く、後回しになっていました。

ところが、これもネットでただならぬ量の情報が手に入ることがわかり、驚くやら、ありがたいやら。宗教改革時代の神学書がずらりとデジタル化されていることについては先日お話ししましたが、Petrucciの楽譜サイトも、たいへんな発展ぶりですね。バッハ以前の、誰も知らないような受難曲の楽譜も、一応と思って検索してみると、かなりの確率で出てくるのです。おかげで、そのあたりもどうやら形をなしてきました。

以前は、ネットでは研究はできない、なぜならそこには「情報」しかないからだ、と言われていました。しかしいまや、じっくり研究するに足る資料が、ネットで手に入るわけです。私は足を使う研究は苦手な方なので、このありがたみをぜひ生かしたいと思います。

今月の「古楽の楽しみ」2017年05月10日 09時45分38秒

「聖母マリアの音楽」は6月に続編をやりますが、5月は軽く中継ぎということで、バッハの鍵盤楽曲を特集しました。まだ一度も出したことのない曲がたくさんありますので、そうした曲が中心となっています。チェンバロとピアノを取り混ぜる、できるだけ新録音を多くする、という方針は、いつもの通りです。

15日(月):
 2声インヴェンションBWV772~789 シャオ・メイ(ピアノ)
 3声シンフォニアBWV790~801 トーマス・ラゴスニク(チェンバロ)
(いずれも2015年の最新録音です。少し弦楽器で演奏したものも入れたかったのですが、全曲2つで、時間がぴったりでした。)

16日(火):
 2声インヴェンションBWV772~789 リリアーナ・スタヴァルツ(チェンバロ)
 3声シンフォニアBWV790~801 ティル・フェルナー(ピアノ)
(演奏のコンセプトも異なりますから、ピアノとチェンバロを入れ替えて聴く日を2日目としました。録音は2011年、2007年です。お好みでどうぞ)

17日(水):
 プレリュードとフーガイ短調BWV894 リチャード・エガー(チェンバロ)
 トッカータホ短調BWV914 同(チェンバロ)
 トッカータハ短調BWV911 レミ・ジュニエ(ピアノ)
 トッカータト長調BWV916 アンドレアス・シュタイアー(チェンバロ)
 6つの小プレリュードBWV933-938 カール=アンドレアス・コリー(ピアノ)
(初期作品から、3つのトッカータの華々しい競演となりました。チェンバロの両巨匠はもちろん立派ですが、超新人のジュニエの22歳/2014年録音がめざましく、金曜日に特別コーナーを設けることに。)

18日(木):
 チェンバロ協奏曲ニ長調BWV972(原作:ヴィヴァルディ) ヴィタール・ユリアン・フレイ(フライ?)(チェンバロ)
 チェンバロ協奏曲ニ短調BWV974(原作:A.マルチェッロ) アンドレア・バッケッティ(ピアノ)
 チェンバロ協奏曲ハ短調BWV981(原作:B.マルチェッロ) オリヴィエ・カヴェー(ピアノ)
 ソナタイ短調BWV965(原作:ラインケン) アンドレアス・シュタイアー(チェンバロ)
(バッハのコンチェルト編曲はオルガン用もありますが、チェンバロ用の方が多数です。イタリアの、明るい風が吹きます。)

19日(金):
 イタリア風アリアと変奏BWV989 アンドレア・バッケッティ(ピアノ)
 ファンタジーとフーガイ短調BWV945 ピエール・アンタイ(チェンバロ)
 アルビノーニの主題によるフーガロ短調BWV951 同
 〔特設コーナー〕
 旅立つ最愛の兄に思いを寄せるカプリッチョBWV992 レミ・ジュニエ(ピアノ)
(作品目録鍵盤部門の終わりの方に並ぶ曲が中心ですが、案外楽しんでいただけると思います。最後に、すでに放送した曲であるおなじみのカプリッチョを、ジュニエへのアンコールという形で入れました。BWV945は、プレハッチの新譜にも入っていることに気づきました。ブレハッチのアルバムからは、12月の新譜紹介のさいに何か入れるつもりです。)

5月のイベント2017年05月08日 09時19分07秒

皆様、連休はいかが過ごされましたか。私は今年ようやく、本当の連休が実現しました。3日から4日間、論文の準備に専念できました。7日は立川「たのくら」の例会でしたが、イベントのご案内を差し上げていなかったことに気づきました。

今月は、早稲田大学エクステンションセンター中野校のモーツァルト講座が、あと2回あります。11日(木)は「34歳のモーツァルト~ヘンデル体験の積み重ね、フランクフルト旅行の明暗」。18日(木)は「35歳のモーツァルト~ピアノ協奏曲第27番と、それに続く諸作品」。いずれも15:00~17:00です。「35歳のモーツァルト」というテーマは秋のシリーズで本格的に展開しますが、いわばその足がかりです(コンチェルト時点ではまだ34歳)。

朝日カルチャーセンター新宿校は、3日が休日だったため、第3(17日)と第5(31日)の水曜日になります。10:00~12:00の「オペラ史初めから」は、17日が《ポッペアの戴冠》第3回、31日は《ヴェルサイユの栄華》第1回です(リュリ)。13:00~15:00のバッハ演奏の講座は、17日が「最新録音で聴くフランス組曲」、31日が同じく《パルティータ第6番》です。後者は曲目が変更になっていますのでご注意ください。

15日からの週は放送が出ますが、詳細はあらためて(バッハのチェンバロ/ピアノ曲です)。その週、いずみホールで「大阪国際室内楽コンクール&フェスタ」が開かれていますが、19日(金)の19:00から開かれる特別コンサートで、ナビゲーターを務めます。シューベルトの弦楽五重奏曲とモーツァルトのクラリネット五重奏曲という、超弩級のプログラム。出演は審査委員長の堤剛さん(チェロ)とミッシェル・ルティエクさん(クラリネット)、クアルテット・エクセルシオです。本選も覗いてみます。

25日(木)は朝日新宿校の宗教改革講座の第2回。「新約聖書と宗教改革」というテーマで、ルター訳の新約聖書が音楽で生かされた実例を紹介します。10:00~12:00。

27日(土)は同横浜校のモーツァルト講座(13:00~15:00)。ピアノ協奏曲シリーズの今回は、隠れた名曲ともいうべき第22番変ホ長調です。名演奏にもご期待ください。

6月の予定は、早めにお知らせします。

(付記)いったん、28日(日)にすざかバッハの会とご紹介しましたが、7月9日の誤りでした。お詫びして訂正します。

小山実稚恵、前人未踏の《ゴルトベルク変奏曲》2017年05月05日 10時29分09秒

これは本当に驚きました。小山さんを尊敬します。

小山さんと私はバッハを通じて結構接点があり、コンサートをお願いしたこともありますし、対談したり、プレイベントにお邪魔したこともあります。そのためでしょうか、30周年記念として《ゴルトベルク変奏曲》を録音されるにあたり、一度聴いてくれないか、というお誘いをいただきました。都内の立派なリハーサル室です。

演奏が始まると、小山さんの演奏と私が日頃温めている考えの間に、一定の乖離があることがわかりました。それは当然のことで、もちろんそのままでもご立派なのですが、せっかくこの場があるのだから、小山さんがどう思われるか、私なりにいろいろ提案してみようと思い立ちました。

イメージを伝えると、それをすぐ音にされます。実験し、可能性を吟味するうちに、乖離がいつのまにか、すーっと消えていったのですね。一緒に音楽をする楽しさに、文字通り時間を忘れました。用意した2時間をずっと過ぎてしまい、次の予定地へとあわてて向かったことを思い出します。

というわけで貴重なひとときだったわけですが、私の役割はそれで終わり。後をどう作り、どんな録音を作られるかは、小山さん次第です。基本的には、ご自身の解釈に、ある程度の変容を含みつつ戻られるのではないかと予想していました。

さて時間が経ち、今日発売されました、との報告をいただきました。CDはすでに届いていたので、おそるおそる、聴いてみました。

それでわかったのは、あの時間に湧いてきたものを小山さんが温めて先へ先へと究められ、高い完成度へともたらされた、ということです。

演奏は潤いがあり、軽やかな踊り感覚にも満たされて、優雅。やや抑えたテンポから、行間の味わいがにじみ出てきます。洒落た利かし、ちょっとした発見が、あちこちにちりばめられている。3声曲が多いですが、その3声がすごく丁寧に弾き分けられていて、どの声部にも、命が吹きこまれている。バッハのポリフォニーをして、自ら語らしめるという行き方なのです。小山さんの新境地を伝える、稀有の演奏と申し上げましょう。

ライナーノートにはご自身の挨拶や美しい写真の数々が載せられています。解説は私ですが、音が仕上がる前にお渡ししましたので、演奏について触れることが出来ませんでした。この場をもって、代えさせていただきます。ぜひ、広く聴かれますように。

なつかしい図書館2017年05月04日 00時11分51秒

昨日、じつに久しぶりに、国立音大の図書館を訪れました。

私は出不精のところがあり、こまめに足を運ぶたちでなかったことを悔やむこともあります。しかし連休前であるからにはここで行くべきと思い定め、古い入館証をもって出かけました。

好天の五月です。玉川上水の駅から大学までの道には五月がびっしり咲き、大学の緑も美しさひとしおでした。昔の建物もすっかり整備され、以前にも増して、快適に使える空間になりました。古い入館証がまだ有効なのにびっくり。当然入れないと思い、入り口のインターホンで、「礒山と申しますが・・」などと言ってしまいました(←元館長です)。

親切にしていただきながらあらためて思ったのは、家にそれなりに環境が整っていても、図書館では勉強が広がるなあ、ということです。研究にはたしかに「足で稼ぐ」という側面があり、それがちょっと、苦手なのです。

5月の前半に、じつはかなり、使える時間があります。ドイツに行く前に論文がどこまで進められるか、ここが勝負になるので、集中したいと思います。

不思議の野球シーズン2017年05月01日 23時34分48秒

シーズンが来ているのに、野球の話題から遠ざかっていたことに気づきました。スマホで見られる速報も日進月歩なので、興味深く見守っています。

野球の評論家や記者の方々はたいへんですね。順位予想をしなくてはいけませんから・・・。セ・リーグはまだしも、パ・リーグは、楽天が1位、オリックスが2位、日本ハムが最下位。これは誰も当てられませんね。去年ツキを使いすぎた球団は、翌年に影響するようにも思います。

私は昔阪急ファン、いまオリックスのファンです。去年オリックスは一軍、二軍その他すべての順位で最下位になり、やる気のないように見える試合もありました。しかも、そこから大黒柱糸井が抜けた。それが見違えるような試合をしているのですから、わからないものです。

そういえば、巨大補強でぶっちぎりと言われた巨人も、そういう試合ぶりではないですよね(笑)。去年の戦力を基本に、プラス・マイナスを考えていたのではわからないのが、野球というスポーツであるようです。どうなるか誰にもわからない、5月です。

個人技の集合であるとともにチームプレーというファクターのある野球は、運や偶然のファクターのからみもその分複雑ですから、なかなか深いということでしょう。稲村亜美さんの始球式も楽しみです。(今日は試合のない月曜日なので、淡々と綴りました。)

3月・4月のCD2017年04月29日 12時30分04秒

先月書きそびれましたので、今月、併せて書きますね。

3月選は、ラファウ・ブレハッチのバッハ・リサイタル(グラモフォン)でした。清潔で爽やかなばかりでなく、洞察力も十分に示された、本格的なバッハです。《クラヴィーア練習曲集》の4つの巻から《イタリア協奏曲》、2曲の《パルティータ》、《デュエット》を選び、《主よ、人の望みの喜びよ》で締めているということは、次は《ゴルトベルク変奏曲》ということですね。

今月は趣を変えて、「アメリカン・コンポーザーズ」という、20世紀アメリカの作曲家たちによる打楽器音楽を選びました(コジマ録音)。上野信一&フォニックス・レフレクションの演奏がとても軽やか、リズムに血が通っていて、心地良いのです。トレヴィノ、クラフト、ライヒ、ハリソン、ケージに加えて、ヴァレーズも入っています。

アヴィ・アヴィダルによる、ヴィヴァルディのマンドリン協奏曲集(グラモフォン)もすごいと思いました。編曲が多くなってしまうのは仕方ないですが、マンドリンにしてこの表現力は驚異です。

藤木大地さんの名歌選集(KKC)も良かったですね。「言葉の端正な扱いと匂い立つリリシズムで魅力満点」なのは、藤木さんならではです。

ツキの帰趨2017年04月27日 23時38分04秒



これは東大の正門を入ったところから、南側を撮ったものです。昔いたのは左側の建物ですが、ずいぶん建物が増えて、密集した感じになりました。

通っていたのは半世紀近く前ですから、変化して当然。昔は胃が痛いのをがまんして通っていたわけですが、さすがにこれだけ歳月が経つと、ゆとりをもって眺められます。

訪れたのは、書類を1つ作ってもらうため。どんな対応になるのか、後日また取りに行くことになるのだろうな、となどと思って依頼書を出したところ、若くかわいい職員さんがきわめて感じのいい対応で、手際よく、その場で作ってくれました。手数料なし。ちょっとうきうきした気分になって、理事をしているある財団に向かいました。

そこでふと気になったのは、この出来事が夜のコンサートに与える影響です。ご承知のように、私はツキの量は一定、事前に思わしくないことがあると本番がうまくいき、万事順調のときは本番で何かがある、という立場なので、これはどうなのかと心配になってきました。

本番というのは朝日カルチャー新宿校のレクチャーコンサート(26日)。大ブレイク中の瀬川裕美子さんの弾く《ゴルトベルク変奏曲》ということで、たくさんのお客様に来ていただきました。

瀬川さんの同曲CDは、演奏ももちろんですが、各変奏に標題を付けるセンスや御自身の解説がたいしたもので、私はその標題と、ライナーノートから抜粋した2つぐらいのセンテンスを、変奏の間でアナウンスすることにしました。これは音楽の流れを止めてしまう危険のあることですが、30も変奏のある曲だと、途中でどこだかわからなくなってしまうのが、私も経験してきたこと。ですので、各変奏の個性をしっかり把握してもらう方に賭けました。レクチャーコンサートですからね。

瀬川さん、とても良かったです。頭のいい方で、哲学や諸芸術に関心を寄せる、幅の広いところがあります。ウェーベルンやブーレーズについて、とくに熱く語られます。ご注目ください。