カフェ、モーツァルト、短歌2016年12月11日 22時34分08秒

「明日は新宿あたりで昼食」と前記事で申し上げました。ゆとりはあったのですが、店を迷ううちに時間切れとなり、カフェのスタンドでサンドイッチという結末に。何度もあった、私らしい成り行きです。ちなみに明日は、渋谷で昼食となります。

午後、モーツァルト・フェラインで講演させていただきました。小池さんがコメントしてくださっているように、1788年という多産の年について、三大交響曲を中心にお話ししました。熱心に聴講していただき、私も、充実のきわみでした。

演奏比較の中心にアーノンクールを置いたのは、彼がウィーン・コンツェントゥス・ムジクスとともに録音した最後期の演奏の圧倒的なすばらしさに、つい最近、気づいたからです。まさに、深淵から三大交響曲を見直す演奏です。そうしましたら、テレビでアーノンクールについてコメントする仕事が舞い込んできました。偶然でしょうが、力が入ります。番組については、追って。

ところで、コメント常連であられる(阿部)久美さんが、すばらしい本を出されました。『ゆき 泥の舟にふる』という歌集です(六花書林)。

オビに、藤原龍一郎さんの次のような紹介があります。

「ひとはかなしいから詩を書くのだ。」--この詩歌の永遠の真理にきわめて忠実に、底ふかいかなしみの歌として、阿部久美の短歌は存在する。

驚きの歌たち。ご本人のご了解をいただいた上で、何作か、ここでご紹介したいと思っています。

ある懇親会の記録2016年11月27日 18時05分04秒

26日の土曜日、朝日カルチャーセンター横浜校の講座の後、初めての懇親会を開きました。

横浜の講座には、長く通われていらっしゃる方、熱心な方がたくさんおられます。ですので、そんな機会も必要だなあ、とかねてから思っていました。折良く、私とお話ししたい、とおっしゃる方がおられ、じゃあ懇親会をやりましょうか、ということになり、それなら幹事を、と手を挙げる方が・・・という流れになって、昨日早くも実現したのです。

ところが、横浜駅周辺はどこも一杯のため、カラオケの一室(!)を借りて開催するとのこと。大いなる懸念とともに現場に向かいました。人数は、14人で縁起よし。高齢者中心の集団ですから、ぞろそろカラオケに入っていく時には、受付中の若い人たちが凍り付きました(気のせいかも)。

でもカラオケ開催が、とても良かったのです。なにしろ密室で静かですから、全員で共有して話ができる。電話一つで、ビールが来る。

お話ししてみると、皆さん、何かを求めて重みのある人生を過ごしてこられた達人さんばかりなのですね。モーツァルトを熱愛する方、聴き重ねて来られた方はもちろん、小説を書く方もあれば、高校の大先輩もいらっしゃる。こういう皆さんに聴講していただいているのであれば、ベストの上にもベストを尽くさなければならないと思いました。次回からピアノ・コンチェルトに入りますが、交流が生まれましたから、きっといい講座になると思います。


何もそこまでと思うほど皆さん喜んでくださり、本当にやってよかったと思いました。楽しい時間でした。・・・と書きますと、われわれのところはやってないぞ、というお話になりますよね。少しずつ、やっていきたいと思っています。よろしくお願いします。

文字通り、日常のこと2016年11月25日 00時51分54秒

皆さん、寒波と雪は大丈夫でしたか。テレビに、留萌の港が移りました。現地の人はさぞたいへんでしょうが、私は寒さが好きなので、旅情も感じてしまいます。

今週が、今月のクライマックスでした。週の前半は3連続コンサートで、たいへん感動的なものも。この件は、別メディアで書くことにします。

専門的に緊張を要する2つの仕事も終え、時計の針が日にちをまたぐ頃金曜日の準備が終わって、ようやく今週を乗り越えるメドがつきました。金曜日(すでに今日)は、3つの仕事掛け持ちしており、準備が遅れていたのです。

午前中は、國學院大學で、モーツァルトの《ドン・ジョヴァンニ》。先週から話に入りましたが、学生は興味津々のようなので、彼らがどう受け止めるか、私の考えをぶつけてみます。午後、「古楽の楽しみ」を2本録音し、夜は府中の合唱団と、バッハのモテットを勉強します。パウロ書簡にも少し近づきましたから、これも楽しみです。

必然的に多くなる外食。タイ料理の頻度がますます増してきました。おいしいお店があちこちにあるのですね。明日も2回外食します。鋭意、発掘してみたいと思います。

これもご縁?2016年11月17日 09時40分39秒

昨日、新宿で《マタイ受難曲》の聴き比べを終え、タワーレコードに寄って、放送や講義で使うCDを集めていました。

バッハのコーナーにいると、声をかけてきた方がおられます。上品な紳士の方。はっきり見覚えがありますが、どなただったかを思い出せないまま、親しくお話ししました。

するとその方が、「事典はもうないでしょうね」とおっしゃいます。ここは本屋さんではないし、何のことだろうと思ったのですが、そういえばそんな話をしたことがあるような気がしてきました。そこで失礼とは思ったのですが、どこでお会いしたか、尋ねてみました。

すると、上尾の教会、とのこと。今月、お話に伺ったところです。そこでようやく気づいたのは、その際に『バッハ事典』を手に入れる方法はないでしょうかという質問をいただいて、家に残部がないかどうか確かめてみますと申し上げ、連絡先までいただいていたことでした。

これはいけなかったと、私は恐縮。調べてご連絡しますと再度申し上げ、連絡先をもう一度書きましょうかとおっしゃるのを辞退して、家に帰ってきました。

これが、再度の失態。たくさんのCDや書類に紛れて、いただいた連絡先が、今のところみつからないのです。もしここをご覧になっておられましたら、ハンドルネームで構いませんのでコメントをいただくか(アドレス記入欄があります)、吉田さんにアドレスを聞いてメールしていただけると幸いです。

この出来事を通じて、自分は同じことをあちこちでしているのではないか、という気が濃厚にしてきました。頼んだのにそれっきりになった、連絡をくれるといっていたのに音沙汰がない、と思っておられる方がたくさんありそうです。

過去に積み重なった失礼はフォローしきれないでしょうが、ダブルブッキング同様、これからは起こらないようにしたいと思います。そのためには、お問い合わせ、ご相談、ご依頼などはメールでいただく、というのが第一。「口頭」はうっかりしたらそれきりですし、電話も同様。手紙形式は、開くのにも、返事するのにも時間がかかります。もう一つ、けっして遠慮なく、ご確認いただくこと。これをお願いしておきます。

ついでに。いま日々の仕事に加えて研究に多大の時間を取られており、興味も義理もあるコンサートに、なかなか行かれない状況です。ですので、コンサートへのお誘いは、間接的な形にとどめていただけるとありがたいです(メールでお断りするのはとても辛いものがあります)。CDは少しずつ聴くようにはしていますが、感想を聞かせてください、となると、対応できないことが多いです。すみません。

タワーレコードでの出来事は、「ご縁があれば再会する」という最近の実感の、一例でもあると思います。

つきまとう言葉2016年11月15日 23時07分48秒

その人その人に、つきまとう言葉というものがありますね。自分は何だろう、と思ってみると、いやな言葉が浮かんできました。多くの人が私に重ねている言葉は、きっと「ダブルブッキング」です。違いますか(笑)。

もちろん、ダブルブッキングをしないように、私なりに努力している。それでも人様に迷惑をかけてしまう、という連鎖の中で、今回のことは起こりました。

朝日カルチャーは横浜と新宿にお邪魔していて、ときどき、犠牲になっていただいています。最近、立川にも伺うようになりました。駅ビルですから至近距離、もっとも便利な仕事場です。

名曲の演奏比較を、いろいろやってみようということになり、土曜日で空いている日を探したところ、3月11日がいい、と決まりました。来年の話です。

対象を《ゴルトベルク変奏曲》に決め、チラシを作成するやりとりをし、プロフィールも、新しいものに直しました。あとは、その日を待つだけです。

ところがふとメールを見返しているとき、スケジュールにこそ書かれていないが、その日は同じ立川で「たのくら」の例会と錦まつりコンサートをすることになっている、と気づいたのですね。わーーーーっ!と思って、担当の方に「まだ間に合いますか」と連絡したところ、すでに印刷中です、というお返事。平謝りで、別の選択肢を挙げてもらいました。平日になってしまうのは、もう仕方ありません。

ところが今日、別の事実が判明しました。11日の土曜日はたしかに当初候補にしたが、出演者の都合で、12日の日曜日に変更した、というのです。メールを見直すと、確かにそう。私は大いに喜び、立川朝日の方に、「大逆転!」と題するメールを打ちました。私を担当される方は、きっと安らぎのない人生を送られるのですよね。申し訳ありません。

さて、ダブルブッキングというのは、普通、同じ日に二重の予定を入れていることをいいますよね。では、一つの予定を二つの日に入れたらどうでしょう。それもダブルブッキングではありませんか?

今日はサントリーの会議が予定されていましたので、家での仕事を打ち切り、出がけに念のため、予定を確認しました。私、手堅いのです。そうしたら、その予定は参加者の都合で11月に延期になったことが判明したのです。空いた時間を私がありがたく活用したことは、言うまでもありません。

もう汚名から逃れようとは思いません。かかわりのある皆様、くれぐれも確認をお願いいたします。

勉強は嘘をつかない2016年11月11日 00時38分19秒

taiseiさん、久美さん、ご感想ありがとうございました。マニアックすぎるかな、と気にしていましたが、こういう情報発信も大切と思うことができました。もうさっそく、来月のための録音です。今度は演奏に焦点を当てていろいろご紹介しますので、ご期待ください。

いまCDの選考をしていますが、今月は年末で量がとても多い上にいいものが多く、難渋しています。しかも、最後に届いたセットものが本命視される内容なので、もう少し時間が必要です。というわけで、今年の学会は現役の人たちにおまかせすることにしました。ごめんなさい。

小野光子さんは国音に学ばれた方ですが、続けておられた武満研究がすばらしい本になりましたね。『武満徹--ある作曲家の肖像』(音楽之友社)です。あらゆる細部に目配りしつつ、信頼性の高い記述が、いい文章で展開されています。勉強は嘘をつかないと、つくづく思います。

〔付記〕深夜こう書いて寝ましたら、美学のゼミについていけないでいる夢を見ました。授業をさぼっては置いていかれ、一応自信のあることに対しても、先輩が「君はこういうことには向いていないよ」というのですね。同傾向の夢は何度も見ています。

ジンクスは日々に2016年11月06日 21時54分26秒

4日(金)、大阪を往復。行きは新横浜から(若干早い)、帰りは東京へ(座って帰れる)というのが、最近の定番です。新横浜で少し時間が取れたので、下車してお店に入り、海鮮丼を注文。

ところが、なかなか出てこないのですね。食べ終わるまで20分を想定していたのですが、10分、15分と過ぎ、ついに20分経っても出てきません。仕方がないので、時間がないので帰ります、お金は払いますので、と言って千円札を出しました。

すると店員がうろたえ、相談している。そこで、注文が通っているかどうかだけ確認してください、と言ったところ、調べた結果は、通ってはいたが、作るのを忘れた、とのこと(笑)。もちろん千円札は引っ込め、走ってホームへ。昼食は駅弁に変更です。

初めにつまずくとその日はいい、というのが、皆さんご存じの私のジンクスです。その日もいい予感がありました。まずいずみホールで、スタッフと打ち合わせ。スタッフがすごく勉強する人たちなので、ディスカッションがいつも盛り上がります。支えてもらっています。

終了後、必要な本を物色しようと、梅田の紀伊國屋書店に寄りました。すると気がつきましたが、この本屋さん、私の本を丁寧に揃えてくれているのですね。感謝。気をよくして文芸書の棚に移動したところ、そう広くないスペースに、篠田節子さんの分厚い単行本が5種類も並んでいたのです。

そこで『冬の光』という15年の新刊を購入し、読み始めました。四国お遍路の出てくる宗教色は篠田さんらしいですが、これが圧倒的な迫力で、やめられない。新幹線、中央線と一心不乱に読みふけり、帰宅後も読み続けて、夜遅く読了しました。読後感爽快、10歳ぐらい若返った気分です。掘り下げた構想といい筆力といい、やはり第一級の作家だと確信します。

翌5日(土)。上尾の教会で、ルターのコラール《いざ来ませ、異邦人の救い主よ》とそのカンタータの話をする日です。電車はどこでもすぐ乗れ、立ち寄ったタイ料理も美味。迷うこともなく会場到着・・って、これはまずいんじゃないの!!

果たして、事前の資料のミスやDVDが映らずといった事態が起こりましたが、大過なく済み、とても熱心に聴講していただきました。

このブログを読んで来られたという近間の方もおられ、国音の卒業生も複数。最近つくづく思うのは、再会は自然に起こるものだ、ということです。別れもありますが、縁があれば必ず再会する。そう思うことで、肩の力がひとつ抜けました。

つながり(マッサージ篇)2016年10月15日 23時02分38秒

今年最大の仕事の集中、厳しいですが、月曜日まで頑張れば一息つけます。なんとか切り抜けられそうなのは、皆様に支えていただいている充実感と、思うに、マッサージのおかげです。

かつて、大岡山の「あんのん指圧鍼灸」というお店に伺っていました。ご夫婦とも正式資格をお持ちのグレードの高いお店で、私の記事を見た方がいらっしゃると、それはそれは喜んでくださいました。

にもかかわらず過去形で書くことになってしまい、申し訳ない気持ちで一杯です(皆さまよろしく)。ある日、ヘトヘトに疲れて、新宿を歩いていました。何かの終了後です。すると道筋に整体のお店があり、吸い込まれるように入ってしまったのです。大手のチェーン店です。

ここは何回かでワン・クールをこなすシステムなので、通うことになりました。どの仕事場からも近く便利で、内容も悪くありませんので、ついつい、ここに居着いてしまいました。

そのうち、上手な先生にいつもお願いできるようになりました。H先生、としておきましょう。ある時私が音楽関係だという話をすると、自分の父がクラシック音楽の愛好家で、バッハが大好きです、とおっしゃるではないですか。では私の名前を知っているかもしれないので、聞いてみてください、と申し上げました。

すると次回、私の読者でいらっしゃることが判明。そこで、一番好きな曲は何か聞いてみてください、と申し上げました。

《マタイ受難曲》が一番好き、という、できすぎのようなお答えでした。もちろん嬉しいですから、私の本を差し上げることにしました。丁寧なお礼状をいただきました。

指名競争になる先生ですので、時間が取れないとき、あるいは曜日を変えたい時に、どうしたらいいですか、と伺いました。そこで推薦していただいたのが、M先生です。この方も、すばらしい先生です。

そのM先生に治療していただいている時のこと。先生が、私の父がクラシック音楽好きで、家の本棚に私の本があった、とおっしゃるではないですか。線を引いて読み込んであり、先生の若い頃の写真がついていた、とこれは余分なお話。H先生のお父さんのことは、ご存じなかったようです。

そこで、どの曲が一番好きですか、という同じ質問をしました。次回の返答は、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番、とのこと。今カルチャーでやっている曲ではありませんか!

この偶然には、本当に驚きましたね。若い方の多く来るどちらかというとスポーツ・美容系のお店で、いつしかお世話になる流れとなった二人の先生のお父様が、いずれもバッハ好き、私の読者であられるとは。しみじみご縁だと思うと、血の循環もよくなってきました。がんばります(笑)。

何を着ていくか2016年09月29日 09時30分30秒

昨28日、国立劇場で、開場五十周年記念式典が開かれました。一応役員の末席に連なっていますので、出かけることにしました。

そこで困ったのは、何を着ていくか、ということです。紋付きに袴、きらびやかな着物の方々がずらり、といったイメージが浮かびますので、着古したものばかりの私としては、着ていくものがありません。

そこで思いついたのが、4月7日の「メンズ館」という談話でお話しした、○○○○○の高級スーツ。高揚感に燃えた買い物になった次第は書きましたが、白状しますと、妻に一発でダメ出しされて、着るに着られなくなってしまったのです。要は、私の体型の問題です。

というわけで半年、それは眠ったままでした。先生、急にお痩せになりましたね、と言われるようになってから着ても意味がありませんので、とにかく一度チャンスを与えよう、と思い立ちました。

体型に合わないと言ったって、人が驚きの目を見張るとか、思わず後ずさりするほどひどくはないだろう、と考えました。幸い知人は少なそうなので、隅で静かに時間を過ごすことにすれば、乗り切れそうです。

皇太子殿下ご夫妻の臨席される、さすがの式典でした。長年ご厚情を賜った今藤政太郎先生が功労者として表彰され、祝賀芸能、とくに、「元禄花見踊り」の華やかさに圧倒されました。

予想通り知人の少ないパーティ会場でスパークリングワインを飲みながら、伝統芸能にももっと時間を使わないといけないなあ、と思うことしきり。前後、とくに違和感のあるまなざしには出会わなかったことを申し添えます。

祝・豪栄道2016年09月25日 22時17分18秒

先のことは誰も予見できない、と思ったのは、豪栄道の優勝ですね。感動的でした。こういうことが起こるから、スポーツは面白い。野球も同じですね。ぶっちぎりだったソフトバンクが追い越され、日本ハムがマジック3なんて、ほとんど信じられないことです。

風が吹いて来る人やチームがある反面、暗転に見舞われる人やチームもある。人生の面白さであり、こわさでもあります。でも相撲取りも野球の選手も、みんな同じことを言いますね。目先の一番一番、あるいは一試合一試合を全力でやっていく、と。

これって、私がいつも若い人たちに言っていることと同じですよね。目先のことをとにかく全力で成功させ、先につなげなさい、というのと。スポーツは、いい教材だと思います。

今場所は、内館牧子さんご推奨の美男力士、隠岐の海が、前半に活躍しました。私も応援していたのですが、どうも大らかな人柄のようで、厳しさが足りないですね。その点、日馬富士はたいしたものです。琴奨菊もパッとしませんが、土俵で両手を回し、琴バウアーで決める動きの流れがとてもきれいで、見とれています。

みんな強い中、生存競争がたいへんですね。だから面白いわけですが。